#62舞台鑑賞に行こう!と 使ってみよう正しいウチナーグチ

OUR OKINAWA

2010年09月08日 02:46

9月7日火曜22時にUST生放送されました。(#bokinawa live at http://ustre.am/6bZ2 )

今夜のトピックは、
「舞台鑑賞に行こう!」by Emi
「使ってみよう正しいウチナーグチ」by 喜納筑登之親雲上
についてです。






「舞台鑑賞に行こう!」by Emi


はいたーい。新米えみです。今回は初のフリートークへの挑戦で、日頃考えていることを話す機会をいただきました☆あぁ、緊張したー。落ち着かずに、着物の袖をさわやーさわやーしてしまった…(反省)。「ふーじねーらん」(ぺーちん先生、当たってますか?)

さてさて、私の定義する「舞台」なんですが、沖縄の伝統芸能である組踊や琉球舞踊、沖縄芝居だけを指すわけじゃなくて「ステージがあって、パフォーマーがいて、それを支える人がいて、そして観客がいるもの」のありとあらゆる「舞台」のことです。しかし、今回は私が琉球舞踊をしていることもあって、沖縄の伝統芸能に焦点を絞りました。

【伝統はイノベーション!】

ではここで、組踊と琉球舞踊の歴史を振り返ってみましょう。

琉球王国において組踊や琉球舞踊は、中国からの冊封使をもてなすための芸能として生まれました。その頃は、「踊奉行」と言われる役人によって演じられていました。また島津侵攻以降は、薩摩の役人をもてなすためにも提供されたとのことです。「古典芸能」の観客は、いわば国家にとって重要なお客様。芸能は国家の外交戦略だったのです!

廃藩置県後、踊奉行であった役人達は職を失いました。それまで一部の士族であった古典芸能は、民衆に広がり発展し、民衆の心を反映した雑踊が誕生しました。ここでの観客は、「沖縄の民衆」でした。沖縄芝居も盛んに上演され、多くの雑踊が沖縄芝居から生まれたとのことです。戦争を経て、戦後は多くの創作舞踊が生まれています。また、これまで男性中心だった琉球舞踊の世界は、女性の進出が目覚ましく、今では女性が中心となっています。

このように、「伝統芸能」と言っても、すべてが何百年も前から変わらずに存在していたわけでなく、時代によって、そして演じられる目的/対象(観客のニーズ)によって、絶えず新たなジャンルが誕生してきました。なので、「伝統」というのは常に革新されつくられ続けているものだと思います。

【観客の存在が芸能を完成させる】


舞台は、踊り手だけでも、地謡(歌三線、太鼓、胡弓、琴、笛、なりものなど)だけでも完成させることはできません。着物(衣装)があり、装飾があり、小道具などがあって初めて成り立つ。(もちろん舞台を裏で支えている方々の努力もしかり。)だから、私は舞台は沖縄の伝統芸能と伝統工芸のオーケストラだと思います。それぞれに素晴らしいものが、混ざり合ってお互いを支え、素晴らしいハーモニーを奏でています。

でもこれだけでは舞台は完成しているとは言えないんです。私はそこには、「観客」の存在が欠かせないと思います。「観客が舞台を完成させる」と言っても過言じゃないかも!

市民の娯楽が限られていた昔の時代は、観客は多くのことを役者や踊り手、地謡に求めていたと思う。そのニーズに応えるため、そして感覚を常にあっと驚かせ、魅了し、感動させるために提供する側は絶えず努力し、新たなものを生み出していく。そういったキャッチボールが沖縄の芸能を育ててきたんじゃないかなて思います。

だから皆さんに声を大きくして言いたいです。

「沖縄の文化をつくるのは、私達一人ひとりですー!!!」

舞台を観ましょう。もっと求めましょう。文化ってさ、よーく社会を表しているから、もっとみんなが関心持てば、また新しいものが生まれて、沖縄の伝統芸能が発展していくはずよー!県は、沖縄の文化をアジアを中心に世界に発信していくという構想を持っています。観客が「世界の人」になる前に、ぜひ沖縄の人にファンになってほしい!

【観客を増やすためにできること】

これが一番難しい、県も舞台関係者も頭を悩ませているところだと思う!私が感じている現状は、観客のほとんどが伝統芸能関係者だということ。つまりやーにんじゅ(=家族、身内)が鑑賞している。きっとどの公演も、ほぼ同じ客層に違いない。一般にほとんど普及していない!「国立劇場おきなわ」の年間観客動員数は、60%程度…。80%を超えるものはわずかで、中には30%台の舞台もあるとのこと。その観客のほとんどが、芸能関係者と考えると…。本当にもったいない!!!!頭痛くなってきた。

(提供する側)

・舞台の演出を工夫する
 「守るために、攻める」by市川海老蔵。
  私はこの言葉につきると思います。
・舞台鑑賞のポイントや作品の解説を充実させる

(受け取る側)
・とりあえず関心を持つ
・敢えて「敷居の高さ」を楽しむ
  → ちょっとおしゃれしてお出かけ!セレブリティ気分
    ぶんかテンブス館なら、なんと大人1260円で味わえます!
・好きな役者を見つける → 今ならファンも少ないので、ちょっとプレミア感?

(ロングスパンで)
・子供のころから舞台がある生活 → 自分が役者/ダンサー
・青年祝などでおじいおばあに琉球舞踊のプレゼント
・地元企業が芸能活動を応援!

【最後に】

舞台に行く、特に歌舞劇に触れることは、私たちの生活を豊にしてくれると思う。「ちゃんと稽古してるか」くらいの見守るような感覚で観に行っても良いし、最近はデジタルな世界に飽きちゃったんだよね、ってアナログな世界にいってみてもいいし。自由です。

気軽に「舞台にいく」っていうライフスタイルが沖縄で観られるといいなぁって思います。





「使ってみよう正しいウチナーグチ」by 喜納筑登之親雲上

ハイサイ!
喜納筑登之親雲上ヤイビーン!


今回も200年前からやってきました!(という設定)


さてさて、今回のお題は「使ってみよう正しいウチナーグチ」


※少し前置きが長いのでせっかちなひとは本題まで飛ばしてね!

よくテレビで「ウチナーグチ」とか「沖縄方言」って言いますよね。
皆さんはその違い知ってますか?

そもそも「ウチナーグチ」とは?「沖縄方言」とは?

「どぅまんぎたよ!」とか「ちゃーがんじゅーねー?」ってウチナーグチ?それとも沖縄方言?


その前に、まずは私たちが普段使っている言葉について、少し時代を遡ってみましょう。


まず、日本語が誕生する昔のこと。当時、日本とその周辺で使われていた言葉がありました。それを日本語の先祖、日本祖語(プロトジャパニーズ)と呼びます。日本祖語は各地域でどんどん変化していきます。日本で使われていた言語が日本語となり、琉球列島で使われていた言語が琉球語となりました。

日本語の中で、東北の言葉や関西の言葉、九州の言葉があるように、琉球語の中にも沖縄本島の言葉、宮古の言葉、八重山の言葉があります。ちなみに日本語と琉球語の差異は、英語とドイツ語の差異より大きいそう。

さて、その琉球語のうち、主に沖縄本島で話されていた言葉を「ウチナーグチ(沖縄口)」と言います。ウチナーグチの中にもさらに首里方言と国頭方言があります。琉球国の首都であった首里の言葉である首里方言が、琉球語の標準語として使われていました。

ところが1879年の琉球処分で琉球は日本に組み込まれ、日本語が公用語となっていきました。その歴史の中で沖縄の人たちは、日本語と琉球語をミックスした中間の言語を作ります。例えば、ウチナーグチで「うろたえる」という意味である動詞「ドゥマングィーン」に日本語的な動詞の過去形である「~た」をくっつけて「どぅまんぎた!(びっくりした!)」という風に。

それを「ウチナーヤマトゥグチ(沖縄大和口)」と言うんですが、これが「沖縄方言」にあたると思います。私たちが普段、日常会話で使っている言葉や、テレビでよく使われるのは、「ウチナーグチ」ではなくて、実は「ウチナーヤマトゥグチ」なんですね~!



さて、前置きが長かったですが、ここで本題!

普段僕らが使っている「ウチナーヤマトゥグチ」ですが語源を調べてみれば結構面白いんです!

ちょっと思いついたものを下に載せてみます。
○がウチナーヤマトゥグチ、
☆がその語源となった正しいウチナーグチです。
活用形も載せてみました。

■動詞編
○ひんぎる・・・逃げる。
☆ヒンギーン・・・逃げる。
ヒンギラン(否定)、ヒンギー(連用)、ヒンギトーン(継続)、ヒンギタン(過去)

○しかむ・・・びっくりする。
☆シカムン・・・びっくりする。
シカマン(否定)、シカミ(連用)、シカドーン(継続)、シカラン(過去)

○にりる・・・疲れた。
☆ニリーン・・・飽きる。
ニリラン(否定)、ニリー(連用)、ニリトーン(継続)、ニリタン(過去)

○しかす・・・ナンパする。
☆シカスン・・・(泣く子を)あやす。(女性を)だます。
シカサン(否定)シカシ(連用)、シカチョーン(継続)、シカチャン(過去)

○どぅまんぎる・・・驚く。
☆ドゥマングィーン・・・うろたえる。あわてる。
ドゥマングィラン(否定)、ドゥマングィー(連用)、ドゥマングィトーン(継続)、ドゥマングィタン(過去)


■形容詞編
○あんまさい・・・疲れた。
☆アンマサン・・・気分がすぐれない。
アンマシコーネーン(否定)、アンマサタン(過去)

○はごー・・・汚い。
☆ハゴーサン・・・汚い。くすぐったい。むずむずして気持ち悪い。
ハゴーコーネーン(否定)、ハゴーギサタン(過去)

○ちむい・・・かわいそう。
☆チムグリサン・・・かわいそうである。気の毒である。
チムグリコーネーン(否定)、チムグリサタン(過去)


■名詞編
○ぐてー・・・マッチョな人。
☆グテー(五体)・・・体格、力。


■番外編
○しに・・・とても(しにかっこいい!→とてもかっこいい!)
☆シヌン(死ぬ)の連用形のシニから。もとは「死ぬほど~」という意味で、徐々に意味が変化したと思う。

○じらー・・・直訳不能。強いて言えば「○○のつもり」。(可愛いじらーか?→可愛い子のつもりか?)
☆ジラーはチラ(面・顔)からの変化。○○チラで○○顔、つまり、「可愛いじらー」を直訳すると、「可愛い顔」。同義で使われるウチナーヤマトゥグチに「フージー」「フーナー」「グヮーシー」がありますが、それぞれ「フージ(風儀)」→風習/しきたり/流儀/なりふり、「フーナー」→真似/ふり、「グヮーシー」→○○ごっこ/○○の真似、になります。


さてさて、どうでしょう?

「にりた!」とか「ちむい!」とか若者の勝手な造語と思ってませんでした?

ちゃんと語源となったウチナーグチがあるんです!
語源と同義の言葉もあれば若干違う言葉もあって、面白いですよね。

ウチナーグチって難しい・・・って言う人もいるけれど、
こうやってみたら、ウチナーグチって意外と覚えられそうじゃないですか?


だって、普段使っているウチナーヤマトゥグチにちょっと加えるだけで
正しいウチナーグチになるんですよー!

例えば、ニリた!→ニリタン!
「ン」を付けるだけで、同じ意味のウチナーグチに。

みんなで、ウチナーグチ使ってみましょうね~!!




■今回のおまけ情報■

現在、那覇市歴史博物館にて企画展「近代沖縄の琉球漆器」を開催しています。

沖縄で漆器?
「沖縄で漆器?」と思う人がいるかもしれないけど、実は沖縄は漆器の名産地なんです!戦前~戦後にかけての沖縄の観光ガイドには泡盛・壺屋焼・シーサーなどに並んで琉球漆器が載っています。残念ながら今では琉球漆器を知る人も少なくなってしまいました・・・。堆錦(ついきん)という、沖縄の気候でしか作れない沖縄独特の技法もあるくらい沖縄は漆器の特産地でした。

貢納品から特産品へ
琉球漆器はもともと、琉球王府が中国や日本への貢納品・献上品として王府が主体となって公務員の職人たちが作ってました。ところが1879年の琉球処分で母体である王府が解体。職人たちも職を失ってしまいました。そこで、彼らは培った技術を生かし、新たなデザインの漆器をつくり沖縄の特産物として売り出します。琉球処分以前は龍の文様などをモチーフしていたのですが、明治になると、パパイヤ・ゴーヤー・芭蕉など新しいモチーフの漆器をつくります。

世界を目指したデザイン
戦前の沖縄県工業指導所では、斬新なデザインの開発に取り組んでいて世界に通用する琉球漆器を目指していました。大正モダンって感じのおしゃれなデザインの漆器も多いです! ※ちなみに戦後の話ですが、今はなき(株)紅房の琉球漆器が83年のグッド・デザイン賞を受賞してます。



うんちく語ってしまいましたが、
那覇市歴史博物館でこういう企画展が開催中です。
興味のある方は是非!

難しい話は抜きにして、沖縄は漆器が特産物なんだという事と、
そして、展示されている漆器からお気に入りの一品を見つけるくらいのノリで良いと思います。

9月25日に人間国宝で浦添市美術館館長の前田孝允氏、
10月2日に浦添市美術館の学芸員岡本亜紀氏の講演会もあります。
※14時~15時半、申込不要、入館料が必要。

場所:那覇市歴史博物館(パレットくもじ4階)
期間:9月3日~11月3日 時間:10時~19時
休館日:木曜日 入館料:一般300円
電話:098-869-5266



OUR OKINAWAわったーばんどーは、
未来の沖縄の為に、今、考えて行動して行くのは
わったーばんどー、私達の番だよという想いでやっています。

放送のハッシュタグは#bokinawa です。twitterで確認してみてください。
(#bokinawa live at http://ustre.am/6bZ2 )
http://twitter.com/ ←コチラから登録してつぶやいてください!登録簡単ですよ^^

関連記事